厳しい状況下での決断
理事長 岩崎 俊雄
すぎのこ会は、昭和50年6月10日に厚生大臣の認可を受け、同月24日に登記が完了し、誕生しました。初代理事長は、私の義父であり養父でもある故岩崎房一郎氏で、農業を営む傍ら町議会議員を務めていたこともあり、福祉に理解を示し、水田を寄附して施設が建設されました。当時は、米の生産調整が開始されたとは言え、水田を施設建設用地に寄贈するなど考えられなかったことから、『房ちゃんは婿に騙されているんじゃないか』との声も聞かれました。しかし、障害を持つ保護者の皆様の熱い想い、期待に、苦渋の決断をしたのではないかと思っています。
当時に比して、福祉に対する理解は格段に進展しましたが、近年においては取り巻く状況も一変し、大きな制度改革が行われてきました。その基本に流れる考えは、公助、共助から自助への転換ではないか、と最近思っています。少子・高齢化が大きな社会問題となる一方、格差が広がる中で、自助・互助をベースにした地域共生社会の創造が強調されているようで、今後、注視していく必要があると考えています。
このような中にあって、本会はトータルサポートシステムの構築を目指すことを掲げ、具体的な施設整備のためのアクションプラン21を策定してきました。現在、第5次プランにまでコマを進めてきましたが、今回のプランの最重点課題は、現在のひのきの杜、ひのきの杜共生の合築の建物を、ひのきの杜共生として大規模改修すること、ひのきの杜を新築整備すること、関連してけやきの家の再編整備を行うこと、です。その第一弾として、過日「新ひのきの杜新築工事」に着手しました。今回の整備は、現在の建物が建設後20年も経過していないこともあり、国・県補助が無いうえ、コロナ感染症対策のための費用等、当初予算を大幅に上回るものとなりました。
45年前に産声をあげたものの、『こんなチビ助、何になる』というヨチヨチ歩きのすぎのこでしたが、『何の負けるか、いまにみろ』を胸に秘め、皆様のご支援を頂きながら歩んでまいりました。そして今、「新ひのきの杜」にたどり着ことができたのです。どのような時代になろうとも、すぎのこ会は『生きていて良かった』と実感できる社会をめざし、今後とも邁進する所存でおりますので、これまで同様のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願いいたします。